デジタルピアサポートアプリ「みんチャレ」と神奈川県みらい未病コホート研究を組み合わせた行動変容効果を検証する臨床研究を開始 デジタルピアサポートアプリ「みんチャレ」と神奈川県みらい未病コホート研究を組み合わせた行動変容効果を検証する臨床研究を開始
神奈川県の未病改善に貢献するコホート研究を基盤に、アプリでの予防医療介入を併用する日本初の取り組み
神奈川県立保健福祉大学(神奈川県横須賀市、中村丁次学長)と、デジタルピアサポート(※1)アプリ「みんチャレ」を開発するエーテンラボ株式会社(東京都港区、長坂剛代表取締役CEO)は、研究名:「デジタルピアサポートアプリ『みんチャレ』の行動変容へのインパクト評価に関する研究(略称:みらい・みんチャレ スタディ)」を共同で開始します。
本研究は、神奈川県立保健福祉大学が神奈川県の協力のもと、先行して実施している神奈川県みらい未病コホート研究(※2)の参加者を対象とし、地域住民に健康行動の継続を促す介入ツールとして「みんチャレ」を活用する日本初の取り組みです。「みんチャレ」の活用により、健康行動(ウォーキング)を6か月継続できるか、また心身の健康状態の改善にどのように寄与するかなどを評価します。
本研究を通じて、デジタルピアサポートによる行動変容や臨床学的数値の改善、心理的・社会的指標の変化等への有効性について科学的に証明し、デジタル技術を遠隔での保健指導に活用する等の社会実装を行い、未病改善に貢献することを目指します。
※1:デジタル技術を使い、オンライン上で同じ境遇の仲間同士が支え合い、励まし合い、課題解決を図ること。「ピア」は仲間を、「サポート」は支援を意味する(出典:日本ピア・サポート学会)。
※2:神奈川県立がんセンター臨床研究所と神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科が神奈川県の協力を得て、運営しているゲノムコホート研究。県民のゲノム情報や生活習慣の情報を収集、ビッグデータ化することで疾患リスクを明らかにし、未病対策に役立てることが目的。https://www.me-byo-cohort.jp/
研究の背景
長引くコロナ禍で行動自粛が続き、働き世代の健康支援において従来の対面式の保健指導が制限され、また、高齢者の身体活動量不足によるフレイル(虚弱)の進行など健康リスクの上昇が懸念されています。そこで、神奈川県立保健福祉大学とエーテンラボ株式会社はスマートフォンアプリを活用することで、場所を選ばず遠隔で、高頻度に、また気軽に健康支援サービスを受けることができる「デジタルピアサポート」に着目しました。ユーザー数・100万人(2022年2月時点)超を集めるデジタルピアサポートアプリ「みんチャレ」を活用することで、健康行動が長期にわたり継続されるか、心身の健康状態にどのような影響をもたらすのかを検証します。
「みらい・みんチャレ スタディ」の概要
本研究は公益財団法人藤沢市保健医療財団(神奈川県藤沢市)の協力のもと、藤沢市保健医療センターの登録住民を対象として実施します。「神奈川県みらい未病コホート研究」に協力している100名を対象に、事前に「みんチャレ」使用群と非使用群(観察群)の振り分けを行い(準ランダム化)、心身の状態をベースライン調査で把握します。使用群には、「みんチャレ」を6か月間利用してもらいます。6か月後と1年後に、エンドライン調査を実施し、習慣化を目指す健康行動(歩く)が非使用群に比べ、どの程度継続したかを検証します。加えて、臨床学的数値の改善、健康行動に影響を与える要因や心身への影響に関する探索的な分析も行います。「神奈川県みらい未病コホート研究」というゲノムコホート研究に、「みんチャレ」のインパクト評価という介入研究を組み合わせた、国内でも珍しい先進的な研究アプローチです。コホート研究を基盤にすることで、研究参加者の疾病発生や健康状態の変化を長期間にわたり観察し、各種要因との関連を明らかにするインパクト評価が可能になります。
本研究により、期待される社会への波及効果
本研究によって、健康行動の習慣化や臨床的数値の改善、心理的ストレスの変化などへの有効性を検証することで、まだ十分とは言えないデジタルピアサポートの科学的エビデンスがより蓄積され、遠隔での保健指導サービスへの活用促進等、社会での実装が期待できます。ひいては、地域住民の未病改善、国の医療費の適正化に寄与することを目指します。
パイロット研究の結果から
本共同研究に先駆けて、2020年より、「デジタルピアサポートアプリ『みんチャレ』の行動変容へのインパクト評価に関するパイロット研究」を神奈川県内の行政職員を対象に実施しました。参加した55人の 90 日間の健康行動継続率は 94.5%でした。パイロット研究の成果を一般住民の健康増進に活用していくためには、より一般住民に近い集団での検討を行う必要があると考え、本研究の実施に至りました。
関係者のコメント
神奈川県立がんセンター臨床研究所がん予防・情報学部部長
神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール教授 成松宏人(研究代表者)
デジタル上で助け合って目的を達成できる「みんチャレ」は健康づくりでも有望な仕掛けです。今回、私たちの取り組んでいる「神奈川県みらい未病コホート研究」とコラボレーションすることで、「みんチャレ」の持つ健康への効果を様々な角度から明らかにしていきたいと考えています。
神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室 篠田 歩
県内で展開する「神奈川県みらい未病コホート研究」と県のME-BYOリビングラボ事業を活用してきた「みんチャレ」との共同研究が実現したことを嬉しく思います。本研究により、県民の未病改善と行動変容を後押しするデジタルピアサポートのエビデンス構築がより一層進むことを期待します。
エーテンラボ株式会社代表取締役CEO 長坂 剛
「みんチャレ」やデジタルピアサポートのエビデンス構築は、市民・自治体・医療従事者・アカデミアの協力があってこそ実現できることであり、多くの関係者の皆様に感謝しております。本取り組みにより「みんチャレ」の社会実装を進め「楽しい未病改善」に貢献することを目指します。
◆◇神奈川県の未病改善に貢献する「神奈川県みらい未病コホート研究」◆◇
県民のゲノム情報や生活習慣等の情報を同意の上で収集し、健康状態を長期にわたって追跡する研究です。2016年に日本多施設共同コーホート研究 (全国で既に10万人以上が参加している大規模コホート研究)の共同研究として、神奈川県西部でスタート。現在は県全域で展開しています。本コホート研究を基盤に、未病の状態を、生活習慣、生活機能、認知機能、メンタルヘルス・ストレスの各領域から数値化して“見える化”する「未病指標」(https://www.me-byo-cohort.jp/me-byo-index)の精緻化事業にも取り組んでいます。
◆◇楽しいから続く、人生が変わるアプリ「みんチャレ」◆◇
5人で励まし合いながら楽しく続ける習慣化アプリ
みんチャレは勉強・ダイエット・運動・糖尿病改善など同じ目標を持った匿名の5人でチームを作り、チャットに報告して励まし合うことで楽しく習慣化に取り組むことができるアプリです。患者さんの生活習慣改善に貢献するために、みんチャレを活用した臨床研究を推進しています。
公式ページ:https://a10lab.com/service/medical/
【共同研究、神奈川県みらい未病コホート研究に関するお問い合わせ先】
公立大学法人神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーションスクール担当部長 佐藤
TEL:044-589-3312
E-mail:health-innovation@kuhs.ac.jp
【みんチャレに関するお問い合わせ先】
エーテンラボ株式会社 広報/事業開発 担当 横田
TEL:03-5422-8396
E-mail: pr@a10lab.com
臨床研究 担当 渋谷・吉原
E-mail: minchalle.study@a10lab.com