成果連動型介護予防事業を駆動するEBPMビジネスプラットフォームの創成に向け「東京都次世代ウェルネスソリューション構築支援事業」に参画

成果連動型介護予防事業を駆動するEBPMビジネスプラットフォームの創成に向け「東京都次世代ウェルネスソリューション構築支援事業」に参画  

日立のセキュアなパーソナルデータ利活用基盤と介護・健康・医療ビッグデータのAI分析技術により、 エビデンスに基づく自治体の事業推進に貢献し、都民のQoL向上をめざす

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、東京都が主催する「令和4年度 東京都次世代ウェルネスソリューション構築支援事業」*1に、成果連動(Pay For Success:PFS)型*2介護予防事業を駆動するEBPM(Evidence Based Policy Making)*3ビジネスプラットフォームの創成に向けたプロジェクト(以下、本プロジェクト)を提案し、選定されました*4
 本プロジェクトは、八王子市・府中市をフィールドに、介護予防や健康促進のスマホアプリの開発提供に取り組むウェルネス企業のエーテンラボ株式会社(以下、エーテンラボ)、株式会社Rehab for JAPAN(以下、Rehab for JAPAN)、株式会社Mealthy(以下、Mealthy)と協力して、官民連携のもと、2022年7月から2023年2月まで実施します。
 本プロジェクトでは、日立のセキュアなパーソナルデータ利活用基盤と介護・健康・医療のビッグデータAI分析技術を活用したEBPMビジネスプラットフォームを新たに創成し、八王子市や府中市における介護予防事業のアウトカム(結果)評価の実証などに取り組みます。自治体のエビデンスに基づくPFS型介護予防事業の推進に貢献することで、都民のQuality of Life(QoL)向上に寄与する介護予防サービスの実現をめざします。

*1東京都では、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京」の実現に向け、先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装をめざしています。この取り組みの一環として、健康・医療などのウェルネス分野における新たな事業の導出・社会実装の促進とビジネスの活性化などに資する先行的なプロジェクトを公募、選定しています。
今回日立は、複数の主体(企業・大学・自治体など)が協力して、都民の健康増進に資する新たなサービスの開発を通じた課題解決、その社会実装をめざす「連携プロジェクト」の一つに選定されました。https://wellness-sol-pj.metro.tokyo.lg.jp/

*2成果連動型民間委託契約のこと。事業の成果に連動して委託料の最終支払い額が決まる、民間への行政サービスの業務委託契約。

*3政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計などのデータ(エビデンス:証拠)に基づいて、政策を企画立案し、質の高い行政サービスの提供を行うもの。

*4東京都プレスリリース(2022年7月11日)
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/news/2022/202207_003.html

本プロジェクトにより創出をめざす事業の全体概要

本プロジェクトの概要

1.取り組み・検討内容

EBPMビジネスプラットフォームの創成

住民向けサービスとして介護予防のためのスマホアプリを導入する八王子市・府中市と連携し、各自治体の医療・介護アウトカムを有する国保データベース(KDB)*5と、ウェルネス企業の保有するPHR(Personal Health Record)データ*6をクラウド上でセキュアに突合し、予防効果を測定するEBPMビジネスプラットフォームを創成します。本プラットフォームは、日立の独自技術によりセキュアなパーソナルデータの利活用を可能にする「個人情報管理基盤サービス」をベースに構築するほか、「AIを活用した保健事業支援サービス」を用いて説明可能なAIなどによるビッグデータ分析を行うことで、介護予防効果を示す要支援・要介護認定率や介護医療費の低減・削減効果などのアウトカムを導きます。これにより、自治体での事業の実施評価やエビデンスに基づいた事業計画策定などを可能にします。

今回の取り組みでは、八王子市・府中市で推進する介護予防事業を対象に実証を行い、データ利活用による各種施策の効果測定方法などの確立をめざします。


*5健診・医療・介護の各種データを活用し、保険者のPDCAサイクルに沿ったデータヘルス計画の作成や実施などを支援するシステム(公益社団法人国民健康保険中央会が開発し、全国の国民健康保険団体連合会が提供)。

*6個人の健康・医療・介護に関するデータのこと。データを自らが一括で管理し、自己の健康状態に合った優良なサービスの提供を受けるために活用できるようにする仕組み。

PFS型介護予防事業の構築

八王子市、ウェルネス企業のエーテンラボ、Rehab for JAPAN、Mealthyとともに、PFS型事業の確立に向けて、EBPMビジネスプラットフォームを用いたロジックモデル*7の構築や、PFS型事業の定量評価の検討などに取り組みます。

エビデンスに基づく介護予防事業のユースケースとして、「令和3年度 東京都次世代ウェルネスソリューションの構築事業 事業化促進プロジェクト」の成果*8を活用しながら、官民連携で持続的な介護予防事業の構築をめざします。


*7「もし~ならば、こうなるだろう」という仮説のもと、 資源、活動、直接の結果、成果をつなぎ合わせたもので、事業が成果を上げるために必要な要素を体系的に図示化したもの。

*8「令和3年度 東京都次世代ウェルネスソリューションの構築事業 事業化促進プロジェクト」において、「脳にいいアプリと健康ポイントを活用した持続可能なウェルネスプラットフォーム構築」プロジェクトに協力団体として日立と八王子市が参画。

2.プロジェクト期間

 2022年7月~2023年2月

3.各団体の役割

背景、参画の経緯

 超高齢社会を迎え、自治体において介護予防事業が推進される中、PHRデータなどを活用したスマホアプリを用いた施策が、どのようなアウトカムにつながったのか、把握困難であることが課題となっています。政府が自治体への導入を促進するPFS型事業を推進するためにも、事業施策によるアウトカムを継続的に評価し、エビデンスに基づいた良質な介護予防サービスを都民に提供することが求められています。
 日立はこれまで、デジタルイノベーションを加速するLumada*9で展開する独自技術を活用した「個人情報管理基盤サービス」や「AIを活用した保健事業支援サービス」を用いて、スマートシティ実現に向けたパーソナルデータ利活用や健診予約の利便性向上*10、糖尿病重症化予防の推進*11など、さまざまな自治体の事業推進や課題解決を支援してきました。

本プロジェクトでは、製薬企業などでの医療データ解析の実績を持つ、日立独自の説明可能なAI技術も組み合わせ、生活習慣病リスクとあわせて介護リスクを推定する、介護予防効果の測定方法を検証します。

また、今回、PFS型事業と親和性の高いウェルネスサービスを展開するスタートアップ企業とも連携し、官民が一体となった、持続可能な介護予防事業の構築をめざします。

*9お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

*10日立導入事例(2022年2月4日)クラウド上で高セキュリティに住民の個人情報を管理できる「匿名バンク」を活用した健診Web予約システム
https://www.hitac.hitachi.co.jp/_ct/17516149

*11日立ニュースリリース(2021年6月30日)栃木県において、AIを活用した保健事業支援が開始
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/06/0630a.html 

今後について

日立は、2023年度以降の事業化を目標に、ウェルネス企業と連携したEBPMビジネスやPFS型介護予防事業を支援するサービス提供に向け取り組んでいきます。また、「個人情報管理基盤サービス」へのKDB・PHRデータ管理機能の実装や、Lumadaで展開されるソリューション・技術の活用などにより、官民連携でデータ利活用を進め、自治体の介護予防事業に貢献し、医療費増大の抑制など人々のQoL向上および健康増進に寄与することをめざします。

エーテンラボは、習慣化アプリ「みんチャレ」を活用したフレイル予防事業を自治体向けに展開します。高齢者が運動と社会参加を楽しく継続できるように支援するとともに、介護・医療費の適正化に貢献します。

Rehab for JAPANは、本プロジェクトを通じて、「介護リハビリによる重度化防止」をテーマとしたPFS型介護予防事業のモデル構築をめざします。東京の高齢者の方々が一日でも長く身体機能を維持し、元気に毎日を過ごせるよう、エビデンスに基づく科学的介護の確立を目標に、事業を進めて参ります。

Mealthyは、現在の保険者向け特定保健指導・重症化予防サポートを、医療機関や自治体との連携を通じて発展させ、人々の疾病リスクを下げる本質的なヘルスケアサービスのリーディングカンパニーをめざします。


■日立の「個人情報管理基盤サービス」について
 本サービスは、クラウド上でより安心・安全に、個人の同意に基づいたパーソナルデータの格納・流通を行うための仕組みを提供するものです。日立独自技術によりパーソナルデータを秘匿化・仮名化して高セキュリティに管理可能な秘匿情報管理サービス「匿名バンク」と、データの提供先や利用目的などの変更に応じて個人からの同意を動的に管理できる各種機能を組み合わせて提供します。また、仮名化データをやり取りできるオープンAPIを提供しているため、データ利活用事業者は新たに基盤を構築することなく、個人のニーズに合わせたパーソナルデータ利活用サービスを提供できます。自治体や民間企業が保有する業務システムとの連携により、業務の効率化やDXの推進に活用することも可能です。

https://www.hitachi.co.jp/app/personal_information/

■日立の「AIを活用した保健事業支援サービス」について
 本サービスは、保健事業を効率的かつ効果的に実施するためのトータルサポートサービスです。日立の医療ビッグデータ分析ソリューション「Risk Simulator for Insurance」を活用し、国保データベースのデータなどを基に、生活習慣病に関する医療費やリスク因子を日立独自のAI技術を用いて分析します。また、AI分析によって得られた指標を参考に、保健指導の対象者を抽出したうえで、糖尿病リスク度を付与することで、緊急度の高い患者から保健指導を実施することが可能です。さらに、医療機関、保険者、患者の情報を連携し、保健事業の推進に必要な情報を共有できるシステムを構築、提供します。

https://www.hitachi.co.jp/app/health_support

■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金融・官公庁・自治体・通信向けITサービスやお客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は10兆2,646億円、2022年3月末時点で連結子会社は853社、全世界で約37万人の従業員を擁しています。

詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

■エーテンラボについて
エーテンラボは、5人1組のデジタルピアサポートアプリ「みんチャレ」の開発、運営を行っています。「みんチャレ」を活用したフレイル予防では、地域の高齢者同士がアプリ上でつながり、フレイル予防行動やコミュニケーションを継続する仕組みを提供します。利用開始時に「みんチャレ」の使い方講座を実施することでデジタルデバイド解消にも寄与します。

参考:https://a10lab.com/service/healthcare/frail/

■Rehab for JAPANについて
Rehab for JAPANは、「介護に関わるすべての人に夢と感動を」をビジョンとし、より多くの高齢者が健康的に長生きすることで幸せに長く暮らせる世界(健康寿命の延伸)に向けて、「エビデンスに基づいた科学的介護」の実現をめざすスタートアップ企業です。介護現場のリアルデータを収集し、高齢者が元気になることを科学していきます。

■Mealthyについて
Mealthyは、2014年11月設立のスタートアップ企業です。多忙で食生活が不規則になりがちなビジネスパーソンをターゲットに、栄養の専門家がユーザーの性格やライフスタイルに寄り添った最適な食事をアドバイスすることで病気を予防する、食習慣改善サポートサービスを展開しています。

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